編集長・上島です。
本誌一月号、金美齢さんの「私はなぜ日本国民となったか」は大きな反響を呼びました。産経新聞一面コラム「産経抄」が、「販売担当者の電話が、ここ数日鳴りやまない。…追加注文が相次いでいる」(平成二十一年十二月十一日付)と書いてくれたとおり、今も在庫の問い合わせが続いています。
ちなみにアマゾン・ドット・コムでは、定価に倍するマーケットプライスが付いていますが、通常なら販売期間が過ぎたのを受けて断裁する市場在庫の一部を回収しましたので、購読を希望される方は販売部に電話でご一報ください。定価でお送りします(03―3243―8469)。
金さんの手記の内容もさることながら、発売直後に、「たかじんのそこまで言って委員会」というテレビ番組で、評論家の宮崎哲弥さんが金さんの論文を取り上げ、「感動しました」と述べてくれたことが売れ行きを後押ししたのは間違いないと思いますが、「国籍」やアイデンティティの問題に読者の関心が高まっていることを強く感じます。
三月号の編集は、小沢一郎民主党幹事長の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件で、東京地検が小沢氏本人の立件を視野に捜査を進めているという報道を見ながらの進行になりました。特集は「炎上! 小沢民主党」ですが、さて今後はどう展開していくのか。
民主党は開会中の通常国会で政府提案による永住外国人への地方参政権付与法案の成立をめざしています。総選挙前はそれに強い違和感を表明していた民主党議員のほとんどが、いまや沈黙を決め込んでいて、取材を申し込んでも梨の礫(つぶて)です。
この法案の危うさについて本誌はこれまで何度も論じてきましたが、二月号で関岡英之さんが、〈「内なる脅威」と化した中国の日本侵蝕〉と警鐘を鳴らしたように、地方参政権の解禁は、事実上在日コリアンの地位改善問題よりも、中国人移民の問題に比重が移りつつあります。
端的にいえば、わが国の主権に中国共産党独裁政権の容喙を許しかねないものです。沖縄県名護市の市長選挙の結果を引くまでもなく、在日米軍だけでなく、自衛隊基地や原発を抱える自治体の首長が、彼らによって選ばれるようになったらどうなるか――。杞憂と放念できるほど、日本人の国家意識はしっかりしているでしょうか。「共生」という言葉は耳に心地よいけれど、そうした言葉こそ、実は警戒しなければならないと思います。
国籍取得と参政権付与は人道や人権を問う問題ではない。その国と命運を共にできるか否かという内なる問いへの回答であるべきだと考えます。
とはいえ、日本国籍を持っていても“売国的”な政治家、役人が少なくないのが、わが国の現状です。三月号で竹田恒泰さんに書いていただきましたが、昨年の天皇陛下と中国の習近平国家副主席の“特例会見”は、その残念な現実を国民の前に明らかにしました。
鳩山首相は、「日中関係をさらに未来的に発展させるために大変大きな意味がある。(特例を求めた)判断は間違っていなかった」と述べました。首相官邸や宮内庁に会見設定を強く働きかけたとされる民主党の小沢幹事長は、それを否定しながらも、「陛下の体調がすぐれないなら、優位性の低い(他の)行事はお休みになればいい」と述べ、「天皇陛下の政治利用」にあたると異議を唱えた羽毛田宮内庁長官に対し、「辞表を提出した後に言うべきだ」と辞任を要求したのは記憶に新しいところです。
鳩山首相、小沢幹事長ともに天皇の政治利用を正当化する不穏当かつ不遜な態度と言わざるを得ません。小沢氏は、羽毛田長官を「憲法、民主主義を理解していない」と切り捨てましたが、氏が天皇と外国要人の会見を内閣の助言と承認が必要な国事行為と考えているなら、それこそ憲法を読んだことがあるのかと問いたい。
日本に帰化したことを告白した金美齢さんは、「日本人は救いのないほどに中国人に甘い幻想を抱いている」と警鐘を鳴らしました。
中国の銭其琛元副首相は回顧録『外交十年』で、外相時代の一九九二年の天皇訪中について、天安門事件で西側から受けた制裁を打破する狙いがあったと明らかにし、「日本は中国に制裁を科した西側の連合戦線の中で弱い部分」で、「中国が西側の制裁を打ち破る最も適切な突破口になった」、天皇訪中が実現すれば、「西側各国が中国との高いレベルの相互訪問を中止した状況を打破できるのみならず」、「日本の民衆に日中善隣友好政策をもっと支持させるようになる」と明記しています。
かつて中国の李鵬首相が豪州を訪問した際、キーティング首相に「日本はあと三十年もすれば潰れてなくなっている」と語ったという話も、かなり人口に膾炙するようになったと思うのですが、中国の首脳は、〝親中外交〟につとめる日本に感謝するどころかこう見なしていたのです。このことを日本人はしっかり記憶にとどめておくべき、という金さんの言葉が、より多くの国民の実感であろうと思うのですが、どうでしょう?
三月号は、ご愛顧への御礼をかねて、価格据え置きで増ページをしました。
書店での立ち読みでも結構です、一度お手にとってページを繰ってみてください。
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